そもそもWi-Fiルーターとは?
Wi-Fiルーターというのは、インターネットの信号を無線で送る機械のことです。
Wi-Fiルーターの役割
- インターネットの信号を受け取る: Wi-Fiルーターはインターネットからの信号(データ)を受け取ります。これは、光ファイバーやケーブルなど、さまざまな方法でインターネットサービスプロバイダー(インターネット会社)から提供されます。
- 無線信号に変換する: 受け取ったインターネットの信号を無線(Wi-Fi)の形に変えて、家やオフィスの中に飛ばします。これにより、無線でインターネットに接続できるデバイスがインターネットを使えるようになります。
- 複数のデバイスを接続する: 一つのWi-Fiルーターで複数のスマホやパソコンなどのデバイスを同時にインターネットにつなげることができます。家族みんなや友達と一緒に、それぞれが好きなことをインターネットで楽しめます。
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Wi-Fi 規格とは?
Wi-Fiの速度や通信範囲などを定めた規格
Wi-Fi Allianceが定めたWi-Fi 4〜7(1〜3は存在しない)とIEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers)が定めたIEEE 802.11から始まるアルファベットで表される異なる組織が作った2種類の呼び方があります。
2024年4月現在では、わかりやすいようにWi-Fi 4、Wi-Fi 5、Wi-Fi 6、Wi-Fi 6E(Extended)の4種類の表記になっており、次世代のWi-Fi 7対応の製品が市場に登場し始めるのは2024年末頃になる予定です。
新しい規格ほどデータの転送速度が速く、より多くのデバイスを同時にサポートできるように設計されており、Wi-Fi 6は高速通信と節電性能が向上しているため、多くのデバイスを使用する家庭に適しています。
以降の解説では基本的にWi-Fi 4〜7で表記していきます。
- 第1世代
- IEEE 802.11 (1997年):最初の無線LAN規格で、2.4GHz帯の電波か赤外線を用いて最大2Mbpsのデータ転送速度を提供。
- 第2世代
IEEE 802.11a (1999年):5GHz帯を使用し、最高54Mbpsの速度を実現。
IEEE 802.11b (1999年):2.4GHz帯を使用し、最高11Mbpsの速度を提供。
- 第3世代
- IEEE 802.11g (2003年):2.4GHz帯を使用し、最高54Mbpsの速度を提供。
IEEE 802.11j (2004年):日本向けに5GHz帯を使用し、最高54Mbpsの速度を実現。日本の法規制に対応。
- 第4世代 【Wi-Fi 4】
- IEEE 802.11n (2009年):2.4GHz帯・5GHz帯の両方を使用し、MIMO(複数のアンテナを使って同時にデータを送受信する技術)を採用して最高600Mbpsの速度を提供。
- 第5世代 【Wi-Fi 5】
- IEEE 802.11ac (2013年):5GHz帯を使用し、MIMO(複数のアンテナを使って同時にデータを送受信する技術)を採用して最高6.93Gbpsの速度を実現。より高速な通信と効率的なデータ転送を可能に。
IEEE 802.11ad (2012年):60GHz帯を使用し、短距離で最大7Gbps程度の高速データ転送を提供。仕様策定が完了したのは2012年末で、IEEE 802.11acよりも1年早く登場しましたが、通信距離が最大10mと短く、あまり普及しませんでした。
- 第6世代 【Wi-Fi 6、Wi-Fi 6E】
- IEEE 802.11ax (2019年):2.4GHz帯・5GHz帯の両方を使用し、最高9.6Gbpsの速度を目指す。効率的なデータ転送と、より多くのデバイス同時接続に対応。
IEEE 802.11ax Extended(2020年):Wi-Fi 6の拡張版で、6GHz帯の周波数帯を追加利用可能。
- 第7世代 【Wi-Fi 7】
- IEEE 802.11be(2024年末予定):2.4GHz、5GHz、6GHz帯を使用し、最高46Gbpsの速度を目指す。より効率的なデータ転送と、さらに多くのデバイス同時接続に対応予定。
注意点
Wi-Fi規格は下位互換のため、スマホ側がWi-Fi 4まで、Wi-Fiルーター側がWi-Fi 6まで対応の場合はWi-Fi4までの性能しか発揮されません。
Wi-Fi Allianceが 定めた認定名称 (IEEE 802から始まる規格名) | Wi-Fi 4 (11n) | Wi-Fi 5 (11ac) | Wi-Fi 6 (11ax) | Wi-Fi 6E (11ax) | Wi-Fi 7 (11be) |
---|---|---|---|---|---|
IEEE策定年 | 2009年 | 2013年 | 2019年 | 2020年 | 2024年 (12月認証予定) |
最大通信速度 (理論値) | 0,6Gbps (600Mbps) | 6.93Gbps (6,930Mbps) | 9.6Gbps (9,600Mbps) | 9.6Gbps (9,600Mbps) | 46Gbps (46,000Mbps) |
対象周波数帯 | 2.4GHz帯/ 5GHz帯 | 5GHz帯 ※1 | 2.4GHz帯/ 5GHz帯 | 2.4GHz帯/ 5GHz帯/ 6GHz帯 | 2.4GHz帯/ 5GHz帯/ 6GHz帯 |
占有周波数帯域幅 ※2 | 20MHz/40MHz | 20MHz/40MHz/ 80MHz/160MHz | 20MHz/40MHz/ 80MHz/160MHz | 20MHz/40MHz/ 80MHz/160MHz | 20MHz/40MHz/ 80MHz/160MHz/ 320MHz |
最大ストリーム数 | 4 | 8 | 8 | 8 | 16(予定) |
前規格からの 主な変更点 | 帯域幅の追加 (40MHz) MIMOの追加 | 帯域幅の追加 (80MHz及び160MHz) MU-MIMOの追加 変調多値数の増加 (64QAM→256QAM) | MU-MIMOの高度化 変調多値数の増加 (256QAM→1024QAM) | 6GHz帯の追加 | 帯域幅の追加(320MHz) 変調多値数の増加 (1024QAM→4096QAM) マルチリンク機能の追加 Preamble Puncturing機能 の追加 |
※2:Wi-Fi 5 以降対応製品でも、デバイス側の仕様で80MHzまでしか対応していない製品もあります。
参考:Wi-Fi Alliance
アンテナ&ストリーム数とは?
アンテナとストリームの役割と違い
- アンテナ数
- Wi-Fiデバイスが物理的に持つアンテナの数を指し、これによって信号の送受信が行われます。
アンテナには外部アンテナと内部アンテナがあり、違いは主に配置と性能にあります。 - 外部アンテナ
・アンテナがデバイスの外側にあり、見える形で設計されています。
・一般的に受信感度が高く、信号の範囲が広いため、より良い通信性能を提供します。
・方向性を調整できるモデルもあり、特定の方向への信号強度を向上させることができます。 - 内部アンテナ
・アンテナがデバイス内部に組み込まれており、外からは見えません。
・デザインがすっきりしていて、損傷のリスクが低いです。
・外部アンテナに比べて受信感度が低下することがありますが、近年の技術向上により差は縮小しています。
- ストリーム数
- そのアンテナを使用して同時に送受信できるデータの流れの数です。
わかりやすく言うとアンテナは道路、ストリームはその道路の車線と考えることができます。
基本この二つはセットになっており、アンテナが多ければその分ストリームも増え、より多くの情報を素早くスムーズに送れるので、インターネットの速度と品質が向上します。
メーカースペック表では【5GHz:2(受信)✖️2(送信)MIMO】などで表されますが、送受信アンテナは必ず同じ本数あるため、以降は見やすいように数字のみ表記します。
ストリーム数による性能の変化
- 【例①】アンテナ数2(5GHz✕1、2.4GHz✕1)=各1ストリーム(計2ストリーム)
- データ使用量が少ない動画やゲーム、メールチェックがメインで価格を抑えたい単身の方向け。
- 【例②】アンテナ数4(5GHz✕2、2.4GHz✕2)=各2ストリーム(計4ストリーム)
- 一般的なインターネット使用やストリーミング動画視聴に適しており、中規模家庭向けの安定した接続を提供。
- 【例③】アンテナ数6(5GHz✕4、2.4GHz✕2)=5GHzは4ストリーム、2.4GHzは2ストリーム(計6ストリーム)
- 高速データ転送と安定性を実現し、4Kストリーミングやオンラインゲームに最適な高性能構成で、中規模家庭向けの安定した接続を提供。
- 【例④】アンテナ数12(6GHz✕4、5GHz✕4、2.4GHz✕4)=各4ストリーム(計12ストリーム)
- 最上級のデータ転送速度と最高の信号安定性を提供し、大規模な家庭やオフィス、多数のデバイスの同時接続、8K高解像度のビデオストリーミングやオンラインゲームなど大規模なデータ転送に最適です。
注意点
メーカーカタログや製品箱には6GHz、5GHz、2.4GHzそれぞれの帯域をすべて合わせて12ストリームと表記されています。
1つのデバイス(スマホなど)が12ストリームすべてを使えるわけではなく、周波数帯(6GHz、5GHz、2.4GHz)やデバイスによって使用できる最大ストリーム数が異なるため注意が必要です。
ストリーム数(アンテナ数)がデバイス接続に与える影響
Wi-Fiの速度と安定性は、アンテナ数とストリーム数によって大きく変わります。しかし、ルーターのこれらの機能をフルに活用するためには、接続するスマホなどのデバイスも同等のストリーム数が必要です
例えば、ルーターが5GHzで4ストリーム対応でも、デバイスが2ストリーム対応の場合、そのデバイスの通信速度はストリーム数2の性能しか発揮できません。
多くのスマートフォンやタブレットは2〜4ストリーム対応で、これはコストやバッテリー消費のバランスを考えた結果です。
しかし、家族間などで多くのデバイスを同時に使用する環境では、アンテナ数が多く、ストリーム数が多いルーターが通信品質を向上させます。
最適なWi-Fi環境を構築するためには、ルーターとデバイスの性能を合わせ、使用環境に適した選択をすることが重要です。
iPhone製品のストリーム対応表
iPhoneの種類 | 対応ストリーム数 | 最大周波数帯域幅 | 対応Wi-Fi規格 対応バンド (対象周波数帯) |
iPhone15 Pro Max iPhone15 Pro | 4 | 160 MHz | Wi‑Fi 6E トライバンド (2,4・5・6GHz) |
iPhone15 Plus iPhone15 iPhone14シリーズ iPhone13シリーズ iPhone12シリーズ | 4 | 80 MHz | Wi‑Fi 6 デュアルバンド (2,4・5GHz) |
iPhone11シリーズ iPhoneSE(第2,3世代) | 2 | 80 MHz | Wi‑Fi 6 デュアルバンド (2,4・5GHz) |
iPhoneXシリーズ iPhone7シリーズ iPhone6シリーズ iPhoneSE(第1世代) | 2 | 80 MHz | Wi-Fi 5 デュアルバンド (2,4・5GHz) |
iPhone5シリーズ | 1 | 40 MHz | Wi-Fi 4 デュアルバンド (2,4・5GHz) |
Phone4シリーズ | 1 | 20 MHz | Wi-Fi 4 シングルバンド (2,4GHz) |
Android製品に関しては各メーカーサイトをご確認ください。
中継機、独自メッシュ、イージーメッシュ(EasyMesh)とは?
Wi-Fi電波を拡張する場合、大きく分けて3種類
- 単純に中継機を増設した場合
- 従来の方法として、Wi-Fiの範囲を広げるために単純に中継機を増設する方法です。
しかし、中継機は独立して動作するため、スマホなどのデバイス間で接続の管理や切り替えを手動で行う必要があったりと、使用するには不便さが伴います。
- 各メーカー独自メッシュ技術
- 従来の中継機能では、親機からの電波を中継してエリアを広げますが、親機と中継機は別々のネットワークとして扱われるため、デバイスが自動で最良の接続に切り替わることがありません。これが原因で、電波が届きにくい場所が出てきてしまいます。
メッシュ技術では、ローミング(接続切り替え)機能により家全体で一つのネットワークが形成され、スマホなどのデバイスは自動で最も信号の良いアクセスポイントに接続されます。この機能により、どこにいても安定した通信が可能です。
しかし、独自メッシュ技術では同メーカーの同じ機能を持った製品でしか互換性がないため、異なるメーカーの製品を組み合わせて使用することはできません。
- イージーメッシュ(EasyMesh)
- Wi-Fi Allianceが開発したEasyMeshは、異なるメーカーのメッシュ対応ルーターやアクセスポイントを組み合わせて使用できる機能です。
これにより、メーカーに関係なく一つのメッシュネットワークを構築でき、消費者は既存の機器を活用しつつ、必要に応じて新しい機器を追加できます。
EasyMeshは、ネットワークの管理を簡単にし、さまざまなデバイス間での互換性を保証することで、ユーザー体験を向上させます。
注意点
同じメーカー製品であっても、独自メッシュ技術とEasyMesh規格の製品間では互換性はありません。
メッシュ技術の特性
- 直線的な範囲拡張
- 中継機を使った場合、親機ルーターから信号を増幅するためには円形に設置する必要がありますが、メッシュシステムではそうではありません。
メッシュシステムはそれぞれが互いに通信してデータをやり取りします。
これにより、直線的にも配置が可能になりますので家のどの部分にも柔軟に設置でき、障害物や壁による信号の減衰を避けながら、家全体に均一な通信環境を提供できます。
- 親機の負担軽減
- 従来のルーターと中継機のセットアップでは、すべてのデータ通信が親機を経由するため、多数のデバイスが接続されると親機の負担が増大します。
一方で、メッシュシステムでは各メッシュ対応ルーターがデータの処理を担うため、親機の負担が軽減されます。これにより、高速かつ安定した接続が多数のデバイスでも保たれます。
- 有線接続を可能に
- メッシュシステムの多くは、有線接続もサポートしています。
これにより、家の中でWi-Fi信号が弱い場所があっても、LANケーブルを使って親機と子機(メッシュ対応ルーター)に直接接続することができます。
有線接続は信号の安定性を向上させるだけでなく、特にデータ転送速度が要求されるアプリケーション(例えば、オンラインゲームや高解像度のビデオストリーミング)においても高速通信が可能になります。
- 補足
- 現在お住まいの場所でメッシュ機能の必要性を感じない方でも、将来的な拡張性を考慮すると、EasyMesh対応のルーターを検討することをおすすめします。
なぜなら今後もっと広い家へ引っ越しした場合、既に持っているEasyMesh対応ルーターを子機として活用し、広範囲にわたるWi-Fiネットワークを簡単に構築できる可能性があるためです。
注意点
EasyMesh対応だからといって、さまざまなメーカーを組み合わせることはあまりおすすめしません。
なぜならトラブルがあった時にサポートをたらい回しにされる可能性があるからです。Wi-Fi全般に詳しい方なら対応可能かもしれませんが、大多数の人にとってはトラブルの原因が何なのかわからず、メーカーも対処できずに解決が困難になるケースがあるためです。
IPv4、IPv6とは?
- IPv4とは?
- IPv4(インターネット・プロトコル・バージョン4)は、インターネット上のデバイスが互いに通信するためのIPアドレス(住所みたいなもの)を提供するシステムです。
32ビットのIPアドレスを使用するため、約43億のアドレスを生成することができます。しかし、インターネットの爆発的な成長によりこれらのアドレスは枯渇しつつありますが、ほとんどのユーザーは未だにIPv4を使用しています。
- IPv6とは?
- IPv6は、IPv4の後継として開発され、128ビットのIPアドレスを使用することで、実質無限とも言える数のアドレスを提供します。
これにより、インターネット接続デバイスの増加に伴うアドレス不足の問題を解決しています。
- IPv5は無いの?
- IPv5も実際には存在しており、インターネット上での音声やビデオの送信を試験するために考案された実験的なプロトコルでしたが、一般には広く使われることはありませんでした。
そのため、インターネットの次世代標準として、IPv6が開発され採用されています。
IPv4とIPv6の比較
- アドレス空間
- IPv4は約43億のアドレスを提供しますが、IPv6は340澗(34の後に36個のゼロ)以上のアドレスを提供し、事実上無限のアドレス空間を持ちます。
- セキュリティ
- IPv6はセキュリティをプロトコルに組み込んでおり、IPsec(インターネットプロトコルセキュリティ)が標準でサポートされています。これにより、データの暗号化と認証が向上します。
- 設定の簡略化
- IPv6では、従来のユーザー名とパスワードによる認証を必要とするPPPoE方式に加え、自動的にIPアドレスが割り当てられるIPoE方式が利用可能なため、迅速なインターネット接続とユーザーの利便性が高まりました。
さらにIPv6は自動設定機能を持ち、デバイスがネットワークに接続されると自動的にアドレスが割り当てられることで、煩わしい設定なしにあらゆる端末をインターネットに接続できるようになっています。
- 通信速度
- IPv4とIPv6の基本的な通信速度は同じですが、PPPoE方式のIPv4ではネットワーク機器の混雑やセキュリティ関係で通信速度の低下を引き起こすことがあります。
一方、IPv6のIPoE方式ではこのような混雑が発生しにくいため、一般的に通信速度が上がると言われています。
注意点
IPv6を利用するためには、ルーターだけではなく、インターネットサービスプロバイダー(ISP)がIPv6に対応している必要があります。
IPv6 アドレスが表示されていればOK
最大通信速度、ベストエフォート、実効スループットとは?
Wi-Fiの最大通信速度とは、Wi-Fiを使ってデータを送ることができる最速のスピードのことです。
ただし、このスピードには「理論値」と「実際の値(ベストエフォート)」の2種類があります。
- 「理論値」とは
- 理想的な状況下でのWi-Fiの最大速度のことを指します。
これは、まわりに障害物が全くなく、他にWi-Fiを使っている人もいない、完璧な状態で計測したスピードです。
例えば、Wi-Fi 6の理論値は最大で9.6Gbps(ギガビット毎秒)と言われています。この速さは、非常にたくさんのデータを一瞬で送れるということを意味していますが、この数値はあくまでも「理想的な状況」での話です。
- 「実際の値(ベストエフォート)」とは
- リアルな生活環境で期待できるWi-Fiの実速度を指します。
家の中には壁があったり、近所の人もWi-Fiを使っていたりするので、理論値とされている速度は得られません。
例えば、Wi-Fi 6対応ルーターを実際に使ってみると、数百Mbps(メガビット毎秒)の速度が出るかどうか、という状況が一般的です。
これは、デバイス側の性能や障害物、家族や隣家間などの電波の混雑状況による理由からです。
- 実効スループットとは
- ある特定のネットワーク環境で測定されるデータの転送速度のことです。
測定条件:実行スループットはデバイス(スマホやパソコン)の性能やネットワークの混雑度、信号の品質、使用しているプロトコル、ネットワークの構成など、多くの実際の運用条件に基づいて測定されます。
利用シナリオ:例えば、Wi-Fiネットワークでのインターネット接続やファイルのダウンロードなど、具体的な使用状況におけるデータ転送速度です。
重要性:実行スループットはネットワーク設備やサービスのパフォーマンス評価において重要な指標とされます。実際のユーザー体験に直接関連しているため、ネットワークの効率性や問題を診断する際の基準となります。
2.4GHz、5GHz、6GHz(対象周波数帯)、〜バンドとは?
- 2.4GHz
- 利点: 長い距離を飛べて、壁などの障害物を越えやすく、家の隅々までWi-Fiの信号が届きやすい電波です。
欠点: 多くの家電製品(電子レンジや無線電話など)も2.4GHz帯を使っているので、混雑しやすく、時には速度が遅くなったり、通信が不安定になることがあります。
- 5GHz
- 利点: 2.4GHz帯よりも速いデータ転送が可能で、よりスムーズなインターネット体験ができます。
欠点: 障害物に弱く、信号が壁を通り抜けにくいため、短い距離でしか使えないことがあります。
しかし、近年のWi-Fiルーターの性能向上により、より遠くまで通信できるように改善されています。
5GHz帯は広く利用されており、特に都市部やマンションなど人が密集している場所では徐々に混雑して相互干渉が起こりやすくなっています。
※場所によっては航空レーダーや気象レーダー、軍事用途、そして一部の民間航空通信など同じ5GHz帯のレーダーシステム「W53,W56」による干渉が発生する可能性があり、干渉すると60秒間ルーターが使用できなくなります。このような環境の近くにお住まいの方は対策(DFS)機能を搭載したルーターを選ぶことをおすすめします。
- 6GHz帯(Wi-Fi 6E以上)
- 利点: 5GHz帯と同様に高速で、さらにこれまでWi-Fiには使用されていなかったより広い帯域幅を提供できるため、混雑が少なく、より安定した通信が可能です。
欠点: 新しい技術なので、対応する機器が限られていること、そして5GHz帯同様に障害物には弱いです。
※基本的には周波数帯が高くなるほど障害物に弱く、遠くに届きません。
- シングルバンド
- デバイスが一つの周波数帯域(通常は2.4GHzまたは5GHzのどちらか)のみで動作することを意味します。
このタイプのデバイスは、一つの「ラジオ局」だけを聞くラジオのようなものです。シンプルでコストが低いが、他の帯域を利用することはできません。
- デュアルバンド
- 2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯域をサポートし、同時に利用することができます。
これは、2つの異なる「ラジオ局」を聞くことができるラジオに似ています。
- トライバンド
- 6GHz帯域と5GHz帯域、2.4GHz帯域の合計3つの周波数帯域で動作します。3つの異なる「ラジオ局」を同時に聞けるラジオと考えるとわかりやすいです。これにより、さらに多くのデバイスを効率的にサポートし、ネットワークの混雑を減らすことができます。
占有周波数帯幅(ワイドバンド)とは?
Wi-Fi信号が使う空中の「水道管」のようなものです。Wi-Fiの世界では、この「水道管」が広いほど、一度に多くの情報を送ることができ、インターネットの速度が速くなります。
メーカー表記で160MHz対応とされている場合、ワイドバンドと呼ばれます。
- 20MHz
- 「細い水道管」のようなもので、基本的なデータのやり取りには十分ですが、多くの情報を同時に送るには限界があります。文字ベースのネットサーフィンやメールの送受信は問題なく行えます。
- 40MHz
- 「中くらいの水道管」のように、20MHzの2倍の情報を送ることができます。これにより、速度が向上します。
標準の音楽ストリーミング、標準画質の動画ストリーミングサービスは問題なく利用可能です。
- 80MHz
- さらに広い「太い水道管」と考えると、もっと多くの情報を高速で送れるようになります。
NetflixやYouTubeなどの高画質(HD)動画ストリーミングサービスやより少ない遅延でオンラインゲームが利用可能です。
- 160MHz
- 「とても太い水道管」で、2024年現在のWi-Fi技術の中で最高の速度を提供します。
4K動画のストリーミング視聴や高速ファイルのダウンロード・アップロードが可能になります。
- 320MHz(Wi-Fi 7以降で対応予定)
- 「超巨大な水道管」の予定で現在工事中。
VR(バーチャルリアリティ)アプリケーションやスムーズな8K高解像度ストリーミング動画サービスの視聴、複数デバイスの高速接続が可能になると思われます。
MIMO(マイモ)とMU-MIMO(マルチユーザー・マイモ)とは?
(MU-)MIMOを理解するには、「チームプレイ」を思い浮かべてみましょう。
サッカーチームが試合で多くのゴールを決めるためには、選手全員が協力してプレイする必要があります。MIMOもこれと似ており、Wi-Fiの信号を送る際に、単一ではなく、複数のアンテナが協力して働くことで、より多くのデータを素早く送ることが可能になります。
MIMOとMU-MIMOの違い
- MIMO(マイモ)
- 1つのデバイス(スマホなど)とルーター1台が複数の信号を同時に送受信する技術。
- MU-MIMO(マルチユーザー・マイモ)
- 複数のデバイスとルーター1台が同時にそれぞれ異なる信号を送受信できる技術。
- デバイス側(スマホなど)の性能も大きく関係
- この技術をフルに活かすには、Wi-Fiルーターだけでなく、接続するスマホやタブレット、パソコンなどのデバイスもMIMOに対応している必要があります。
例えば、ルーターが4つのストリームで(MU-)MIMOに対応している場合、スマホも同じく4つのストリームでMIMOに対応していないと、最大限の速度や安定性は得られません。
(MU-)MIMOの役割
- 速度向上
- 複数のアンテナを通じて、複数のストリーム(情報の流れ)を同時に送受信します。このプロセスにより、通信速度が大幅に向上します。
- 通信の安定性
- 複数のデータストリームを扱えるため、一つのストリームが問題を抱えていても、他のストリームを介して情報をスムーズに送受信できます。これにより、全体としての通信がより安定します。
変調多値数とは?
Wi-Fiなどの無線通信でどれだけたくさんの情報を一度に送ることができるかを示す数値のことです。
具体的には、64QAM、256QAM、1024QAM、4096QAMなどがあります。この「QAM」は変調方式の一種で、数字が大きいほど一度に送れるデータの量が多くなりますが、より高い技術が必要になります。
- 64QAM
- 基本的な変調方式で、一度に64種類の異なる信号を送ることができます。これはWi-Fiの標準的な速度で使われます。
- 256QAM
- より進んだ変調方式で、一度に256種類の信号を送れます。これにより、64QAMよりも速くデータを送ることができるため、インターネットの速度が向上します。
- 1024QAM
- さらに高度な変調方式で、一度に1024種類の信号を送れます。これを使うことで、256QAMよりもさらに多くのデータを高速に送ることが可能です。
- 4096QAM
- 非常に高度な変調方式で、一度に4096種類の信号を送れます。これにより、1024QAMよりもさらに速いデータ転送が実現できますが、技術的な要求が非常に高くなります。
これらの変調方式は、信号の「密度」を高めることでより多くのデータを送ることができます。数字が大きいほど、一度に送れる情報の量が増えるため、インターネットの速度が速くなりますが、それだけ高い技術と良い受信環境が必要になります。
ビームフォーミングとは?
普通のWi-Fiルーターは家の中のいたるところに無差別に信号を送りますが、ビームフォーミングを使ったルーターは、インターネットを使っているデバイス(スマートフォンやパソコンなど)の方向に集中して信号を送ります。この技術により、Wi-Fiの信号はデバイスに直接向けられるため、信号が強くなり、接続が安定します。
懐中電灯に例えてわかりやすく解説。
- 普通のWi-Fi=拡散型懐中電灯
- 部屋中にランダムに光を散らす広範囲の懐中電灯。光は広がりますが、特定の場所には強く届きません。
- ビームフォーミングのWi-Fi=ピンポイント型懐中電灯
- デバイス(スマホなど)に強く光を集中して照らす懐中電灯。そのため、より遠くまでしっかりと光が届きます。
バンドステアリングとは?
デバイス(スマートフォンやタブレットなど)を、Wi-Fiの異なる周波数帯(バンド)の中で最適なものに自動的に接続する助けをします。
主に3つのバンド、2.4GHz、5GHz、6GHzがあります。
バンドステアリングの役割
- 周波数の自動切り替え
- 22.4GHz、5GHz、6GHzのどれを使うべきかを自動で判断します。もし5GHz帯が混雑しだしたら、2.4GHz帯にスムーズに切り替えることができます。
- スピードと範囲のバランス
- 5GHzや6GHzバンドは速いですが、距離が短く、障害物に弱いです。
一方で2.4GHzバンドは速度は少し遅いですが、より遠くまで届きやすく、壁などの障害物を通り抜けやすいです。バンドステアリングは、これらのバンドの利点を活用して、いつでも最良のWi-Fi接続を提供します。
WPA3(最新暗号化機能)とは?
WPA3はWi-Fiのセキュリティを強化する新しい規格で、従来のWPA2よりもずっと強力です。
家の鍵に例えてわかりやすく解説
- WPA2(従来のセキュリティ)=普通の鍵
- WPA2は以前から使われているセキュリティ規格で、多くの家にある普通の鍵のようなものです。
これまで多くの人に使われてきましたが、時間が経つにつれて古くなり、技術的な弱点が見つかり始めました。
- WPA3(新しいセキュリティ)=最新の強化鍵
- WPA3はもっと強化された新しい鍵で、より安全です。
この鍵は新しい技術を使っていて、今までの方法では破るのが非常に難しいです。
たとえ誰かが無理やり鍵を開けようとしても、自動で警報が鳴るような追加の安全機能があります。
WPA3はインターネットの世界で私たちのデータを守るために、より新しくて強力な鍵を提供してくれるので、安心してインターネットを使うことができるのです。
マルチリンク機能、MLO(Multi-Link Operation)とは? ※Wi-Fi 7〜
一つのデバイスが複数のWi-Fiチャンネルや周波数帯を同時に使えるようになる技術です。
例えば自転車で学校に行くとします。普通は一つの道を選んでその道をずっと使います。でも、もし途中で道が混んでいたら、別の道を選べたらいいですよね。マルチリンク機能は、まさにその「複数の道を同時に選べる技術」です。Wi-Fiの世界では、この「道」がWi-Fiのチャンネルや周波数帯にあたります。
さらに、2.4GHz、5GHz、6GHzといった複数の周波数帯を同時に使えるようになります。これにより、データをより速く、より効率的に送ることができ、通信の品質が向上します。
Preamble Puncturing(プリアンブル パンクチャリング)機能とは? ※Wi-Fi 7〜
「Preamble Puncturing」は、Wi-Fi信号の中で使われる特定の部分(プリアンブルと呼ばれる部分)に「穴をあける」(パンクチャリング)ことで、その部分を使わないようにする技術です。
通常は穴を開けてしまうとチャンネルが分断されてしまい通信効率が悪くなってしまいますが、この機能により分断されず干渉が少ない部分だけを使ってデータを送受信することができるので、通信の効率が良くなり、より高速で安定したWi-Fi通信が可能になります。
例えるなら、急いでいるとき、人混みの中を歩くと遅くなりますが、「抜け道」を見つけるとスムーズに進めます。この「抜け道」を見つけて使うことで、他の混雑している道を避けて早く進むことができるようになるのがPreamble Puncturing機能なのです。
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