【音質編】ゼロから(初心者でも)わかるワイヤレスイヤホン専門用語解説【Android & iPhone対応】

【音質編】ゼロから(初心者でも)わかるワイヤレスイヤホン専門用語解説【Android & iPhone対応】

音楽を愛するすべての人へ、ワイヤレスイヤホンの世界は、ただの便利さを超えた豊かな音楽体験を提供します。

しかし、その素晴らしさを最大限に引き出すためには、音質に関する専門用語や機能を理解することが不可欠です。このガイドでは、AndroidとiPhoneユーザーを問わず、ワイヤレスイヤホンの音質に関する用語をゼロからわかりやすく解説します。再生周波数帯域からサンプリング周波数、コーデックまで、これを読めば、音質にこだわるあなたも満足のいくワイヤレスイヤホン選びができるようになります。

音質に敏感なリスナーや、ただ単にもっと良い音で音楽を楽しみたいと考えている初心者の方々に、このガイドがワイヤレスイヤホンでの音楽ライフを一層豊かにする一助となれば幸いです。

ノイズキャンセリング、外音取込、マルチポイントなどの専門用語がわからない、という方はこちら

【基礎編】ゼロから(初心者でも)わかるワイヤレスイヤホン専門用語解説【Android & iPhone対応】

ゼロから(初心者でも)わかる再生周波数帯域、使用周波数帯域、インピーダンス

再生周波数帯域人間に聞こえる周波数帯域
再生周波数帯域: 再生周波数帯域は、イヤホンやスピーカーが再生できる最低周波数と最高周波数の範囲を指します。これは、バンドが演奏できる音の範囲(例えば、非常に低い音から非常に高い音まで)に似ています。もしバンドが非常に低い音から非常に高い音まで演奏できれば、彼らの「演奏周波数帯域」は広いと言えます。同じように、イヤホンがとても低い音からとても高い音まで再生できれば、その再生周波数帯域は広いと考えられます。

人間に聞こえる周波数帯域:一般的に20ヘルツ(Hz)から20,000ヘルツ(20キロヘルツ、kHz)です。この範囲は、最も低い音(低音)から最も高い音(高音)までをカバーしています。ただし、年齢や個人の聴力によってこの範囲は多少異なることがあります。例えば、年を取るにつれて、特に高い周波数の音を聞き取りにくくなることが一般的です。

再生周波数帯域は「どの範囲の」音を再生できるかに関係していますが、ほとんどの機種で20Hz~20kHzが採用されています。
使用周波数帯域
無線でデータを送受信するときに使われる「空の道路」のようなものです。

無線通信は、見えない電波を使って情報を運びます。これらの電波は、さまざまな「周波数」という速さで振動しています。周波数帯域とは、これらの振動する電波の速さの範囲を指します。
Bluetoothデバイスは一般的に2.4 GHzという周波数帯域を使用します。これは非常に高速な振動をする電波です。

例えば、ラジオ局が異なる周波数を使って放送しているのと同じように、ワイヤレスデバイスもたくさんの異なる周波数を素早く切り替えます(周波数ホッピング)。これによって、他のデバイスの信号とぶつかって通信が乱れるのを防ぎます。

Bluetoothは2.4 GHz周波数帯域を使うことで、たくさんのデバイスが互いに干渉することなく同時に通信できるようになります。これは、たくさんの車が異なる道を使って目的地に行くようなものです。各デバイスが自分専用の「空の道路」を持つことで、スムーズに情報を送受信することができるのです。
インピーダンス
イヤホンが電気信号(音声信号)にどれくらい抵抗するかを示す値で、オーム(Ω)という単位で測定されます。

水道の蛇口に例えてみましょう。
蛇口をひねると水が流れます。蛇口が緩いと水はたくさん流れ(低インピーダンス)、蛇口が固いと水は少なく流れます(高インピーダンス)。イヤホンにおけるインピーダンスも同じようなものです。インピーダンスが低いと、電気信号がより流れやすく(蛇口が緩い)、インピーダンスが高いと電気信号が流れにくくなります(蛇口が固い)。

インピーダンスが低い場合と高い場合の違いは以下の通りです。

低インピーダンス(例:16Ω)※主にワイヤレスイヤホン
低インピーダンスのイヤホンは、スマートフォンやポータブル音楽プレーヤーなどの低出力デバイスでも十分な音量を提供します。
しかし、音質に影響を与える可能性があり、特に低音の制御が難しくなることがあります。

高インピーダンス(例:50Ω)※主に有線でアンプが必要になるヘッドホンなど
高インピーダンスのヘッドホンなどは、より高い音質と精密な音の再現を提供する傾向があります。特にスタジオやハイエンドオーディオ機器でその利点が発揮されます。
ただし、これらの機器を駆動するためにはより強力な出力が必要で、一般的なスマートフォンや携帯音楽プレーヤーだけでは十分な音量を得ることが難しい場合があります。

インピーダンスの値は、イヤホンがどのようなデバイスと最適に使用されるかを決定する重要な要素です。低インピーダンスは使い勝手が良く、高インピーダンスは音質に優れていますが、適切な機器で使用する必要があります。

ゼロから(初心者でも)わかるビットレート、サンプリング周波数(48kHzなど)、ビット数(16bit、24bit)

ビットレート
音楽や音声をデジタルデータとして扱う際の「情報の量」を指します。
オーディオデータの品質と詳細度を示す指標で、単位は通常「kbps(キロビット毎秒)」です。

わかりやすく例えると、ビットレートは「絵画の細かさ」のようなものです。
例えば、絵画をたくさんの細かい点で描くと、絵は非常にリアルで詳細になります。これは「高いビットレート」に相当し、音楽や音声では細かい部分までクリアに聞こえ、豊かな音質になります。しかし、絵画を描くのに多くの点(情報)を使うと、もっと多くのペンキ(データ)を必要としますし、絵を描くのにもっと時間がかかります。音楽の場合、これはデータ使用量が多くなることや、バッテリーをより多く消費することを意味します。

一方で、もし絵画を少ない点で描くと(これは「低いビットレート」)、絵はもっと大まかになり、細部はぼやけて見えるかもしれません。音楽や音声で言えば、これは音質が低下することを意味し、細かい音のニュアンスが失われることになります。しかし、その分ペンキ(データ)を節約でき、絵を描くのも早く終わります。音楽でいうと、データ使用量が少なくなり、バッテリーの持ちがよくなるということです。
つまり、ビットレートは音楽や音声の「品質」と「データ使用量」のバランスをとるための重要な指標なのです。
サンプリング周波数(48kHzなど)
音をデジタル化する際に、1秒間に何回音を記録するかを示します。
絵で言うと、1秒間に何回ペンを動かすかのようなものです。48kHzは、1秒間に48,000回音を記録することを意味します。この数が多いほど、より正確に音を捉えることができます。
ビット数(16bit、24bit)
記録される音の詳細度を示します。
絵に例えると、1回のペンの動作でどれだけ細かい色の違いを表現できるかということです。16bitでは65,536(2の16乗)の異なる音の強さを区別できますが、24bitでは16,777,216(2の24乗)の異なる強さを区別できます。これは、より多くの色のニュアンスを絵に加えることに似ています。

ゼロから(初心者でも)わかる音声ファイル形式、コーデックとDAC(デジタル-アナログ変換器)

コーデックDAC(デジタル-アナログ変換器)とは
音声データを特定の形式に変換する技術のことです。
これを理解するためには、「言語の翻訳」に例えることができます。言葉が異なる国の人同士が会話するとき、翻訳者が言葉を変換して通じ合うのと同じように、音声データを異なる形式に変換して、機器同士が「通じ合う」のを助けます。

無線は「コーデック」(ワイヤレスイヤホンなど):特にBluetooth接続で使用されます。ここでの主な目的は、音声データを効率的に圧縮して、無線で送信しやすくすることです。無線接続では、データを送るスペース(帯域幅)が限られています。そのため、コーデックは大量のデータを小さくまとめて、それを無線で送ります。長い手紙を短いメモに要約して、狭いポストに入れるようなものです。ただし、この圧縮には音質の低下が伴うこともあります。BluetoothのコーデックにはSBC、AAC、LDAC、aptXなどがあり、それぞれがデータの圧縮方法や音質に特色を持っています。

有線接続は「DAC」(デジタル-アナログ変換器):有線接続の場合、データの送信に使えるスペースが広いため、圧縮の必要性が低くなります。ここでの主な役割は、デジタル音声データをアナログ信号に変換することです。これは、コンピュータのファイルを紙に印刷するようなもので、デジタルの音を私たちの耳が聞ける実際の音に変えます。この変換を行うのがDAC(デジタル-アナログ変換器)です。有線接続では、このDACの品質が音質に大きな影響を与えます。そして再生するオーディオファイルの形式(MP3、WAV、FLACなど)、アンプ(オーディオ信号増幅機)、ケーブルとコネクタなどの品質が、最終的な音質を決定する重要な要素になります。※iPhoneなどの最新機種はイヤホンジャックが無いため、別売りでUSBType-C / Lightning経由のDAC・アンプなどが販売されています。

ワイヤレスイヤホンのコーデックは「無線での効率的なデータ送信」に重点を置き、有線接続(DAC)は「デジタルデータをアナログデータ(原音に近い音)に変換する」ことに注力しています。

ワイヤレスイヤホンにおけるコーデックの種類

SBC : Bluetoothオーディオの標準コーデックで、幅広い互換性がありますが、音質は基本的なレベルです。

AAC : MPEG(Moving Picture Experts Group)において規格化されたオーディオ圧縮フォーマットです。特にAppleは2003年にiTunes Music Storeが立ち上がった時から他の多くの企業よりもいち早くAACを採用しており、ノウハウが豊富なためApple製品でよく使われるコーデックです。※最近のAppleデバイス(iPhoneやiPad)では、AACコーデックが標準でサポートされています。

aptX : Qualcomm(クアルコム)が所有するコーデックで、低遅延と高音質を提供します。主にAndroidデバイスでサポートされています。

aptX LL:このコーデックの一番の特徴は、音声の遅れ(レイテンシー)を極めて少なくすることです。画面上の動きと音声ができる限り合うように設計されており、ビデオゲームや映画鑑賞時の体験がより良くなります。主にAndroidデバイスでサポートされています。

aptX Adaptive:さまざまな状況に合わせて音質と接続の安定性を自動で最適化するコーデックです。音質と接続のバランスを自動で調整します。主にAndroidデバイスでサポートされています。

aptX HD : aptXの高解像度バージョンで、より高い音質を提供します。これにより高解像度のオーディオが実現します。主にAndroidデバイスでサポートされています。

aptX Voice:音声通話の品質を向上させるコーデックです。通常のBluetooth音声通話は16kHzのサンプリングレートを使用しますが、aptX Voiceは32kHzのサンプリングレートを提供します。特にビジネス通話やオンライン会議など、明瞭な音声が必要な場面でその効果を発揮します。主にAndroidデバイスでサポートされています。※音声通話特化のため表にはのせていません。

LDAC : SONYによって開発され、非常に高いビットレートでオーディオを送信できるため、高品質(ハイレゾ)の音楽再生が可能です。遅延があるため、ゲームや映画鑑賞には不向きです。主にAndroidデバイスでサポートされています。

LHDC(HWA) :台湾の半導体メーカーSavitech(サヴィテック)社が開発した高解像度オーディオと低遅延を提供する比較的新しいコーデックで、おもにファーウェイ(中国)製品に採用されています。

LC3:新しいタイプのコーデックで、特に音声通話の品質を向上させるために開発されました。LC3の特徴は、より少ないデータで高品質な音声を伝送できることです。つまり、インターネットの速度が遅くても、または電波状況が悪くても、クリアな通話や音楽再生の品質を保つことができるのです。主にAndroidデバイスでサポートされています。

注意点としてiPhoneやandroidなどのデバイスとワイヤレスイヤホンの両方で同じコーデックが採用されてる場合のみ効果を発揮します(片方だけでは効果なし)。

コーデック比較一覧表と、アップル製品におけるコーデックの特徴

コーデックの種類SBCAACaptXaptX LLaptX AdaptiveaptX HDLDACLHDC(HWA) LC3
互換性
(スマホとイヤホン共に同じコーデックが必要)
iPhone/androidiPhone/androidandroidandroidandroidandroidandroidandroidandroid
ビットレート
(最大)
328kbps320kbps352kbps352kbps420kbps576kbps990kbps900kbps320kbps
遅延
(機器に伝わるまでの時間差)
約0.2秒約0.1秒約0.07秒約0.04秒以下約0.06秒約0.12秒約1秒約0.1秒約0.06秒
サンプリング周波数
/ビット
48kHz/16bit48kHz/16bit48kHz/16bit48kHz/16bit48kHz/24bit48kHz/24bit96kHz/24bit96kHz/24bit48kHz/32bit
音質や遅延については機器の設定や構造によっても違いがでるため、これらはあくまで参考としてください。
遅延に関しては動画視聴やゲームをする場合に気になる事がありますが、音楽再生の場合は特に気にしなくても良いでしょう。

Appleデバイスに対応しているコーデックは「SBC」「AAC」の2種類のみ

iPhoneやiPadでワイヤレスイヤホンの高音質性を判断するには、単純に「AACコーデックに対応しているかどうか」をチェックしましょう。

これはAppleデバイスが「SBC」と「AAC」のみに対応しており、aptX系やLDACなどの他の高音質コーデックには対応していないため、非常に明確でわかりやすい指標となります。

AAC (Advanced Audio Coding) コーデックが比較的低いビットレートで良い音質を提供できる理由は、その効率的な圧縮技術と音質最適化にあります。

以下はAACの特徴です。

  • 効率的な圧縮アルゴリズム: AACは非常に効率的な圧縮方法を用いています。これにより、少ないデータで音声情報を高度に圧縮し、ファイルサイズを小さく保ちながらも高音質を維持できます。
  • 心理音響モデリング: AACは人間の聴覚の特性を考慮した心理音響モデリングを採用しています。これにより、人間の耳が識別しにくい音の情報を除外し、重要な音の情報を保持します。結果として、必要な音声情報をより少ないビットレートで効率的にエンコード(データを特定の形式に変換するプロセス)できるのです。
  • 互換性と最適化: 特にAppleデバイスでは、AACが最適化されて実装されており、そのエコシステム内で最良のパフォーマンスを発揮します。

AACは少ないデータ量でも良い音質を実現できるので、ストリーミングサービス(インターネットを通じてリアルタイムで音楽やメディアを視聴すること)での利用に向いています。

ゼロから(初心者でも)わかるドルビーアトモス(Dolby Atmos)、空間オーディオ、ロスレス音源とハイレゾ音源

ドルビーアトモス(Dolby Atmos)
ドルビーアトモス(Dolby Atmos)は、音を3D空間に配置し、360度どの方向からでも感じられるようにする技術です。

映画館やコンサートのように、臨場感あふれる音響体験を提供し、没入感を高めます。
空間オーディオ
空間オーディオとは、特にAppleが提供するオーディオ技術で、ドルビーアトモスなどの3D音響技術を活用し、独自の機能やアレンジが加えられています。
ロスレス音源(Lossless Audio)
「ロスレス(Lossless)」とは、「無損失」という意味です。
ロスレス音源は、元の音楽データから品質を落とさずに圧縮された音源のことを指します。CDやデジタル録音された音楽を、データ量を減らすことで保存しやすくしたものの中で、元の音質を損なわないように圧縮されたファイルです。

音質の劣化がないため、元の音楽データと同じ音質で音楽を楽しむことができます。

ただし、ロスレス音源をフルに楽しむためには、ロスレス形式をサポートするプレイヤーやアプリ、そして良質なワイヤレスイヤホンやヘッドフォン、スピーカーが必要です。このような環境を整えることで、ロスレス音源の真価を実感することができます。
ハイレゾ音源(High-Resolution Audio)
ハイレゾ音源の定義: 通常のCDの音質は「44.1kHz/16bit」で、ハイレゾ音源はそれを超える「44.1kHz/24bit」以上の品質を持つ音源データです。これは、絵が細かい点(ピクセル)で描かれているほど鮮明に見えるのと同じで、より多くの「音の情報」を含んでいるため、より豊かでクリアな音を楽しむことができます。

ハイレゾに必要な機器や規格: ハイレゾ音源を楽しむためには、ハイレゾに対応した機器が必要です。これには、ハイレゾ対応のイヤホンやヘッドフォン、スピーカー、音楽プレイヤーやスマホなどが含まれます。

ハイレゾ対応のアプリと設定: ハイレゾ音源を再生するためのアプリも必要です。これらのアプリは、高解像度の音楽ファイルを正しく読み取り、再生する機能を持っています。スマートフォンなどのデバイス側の設定も必要になります。

データ容量: ハイレゾ音源は通常の音源よりも情報量が多いため、多くのストレージ(データの保管場所)を必要とします。5分程度の音楽で1曲あたり100~200MBの容量が必要(10曲で1GB以上)です。
最近ではAmazon music unlimitedなどのストリーミング(音楽配信)サービスからでも聞くことは出来ますが通信量が大きいため、外出先のパケット通信ではすぐに通信制限がかかる可能性がありますのでWi-Fiでの使用をおすすめします。

ハイレゾ音源の入手方法: ハイレゾ音源は、オンラインの音楽ストアや専門のストリーミングサービスから購入またはダウンロードできます。ただし、ハイレゾと表示されているもの全てが実際に高解像度であるとは限らないので、信頼できる発信源から入手することが大切です。

有線と無線の違い: ハイレゾはデータ容量が大きいため、基本的に有線での使用を推奨しています。しかし、現在では無線(Bluetooth)も進化しており、aptX HDやLDAC対応のandroidデバイスでハイレゾ音源を聞くことが可能になっています。※iPhoneはワイヤレスイヤホンだとハイレゾに対応できず、有線で【48kHz/24bit】までしか対応していないため、【192kHz/24bit】で聞く場合などはアンプをつないだりとワンクッション必要です。

【iPhoneやiPadでハイレゾやロスレスを楽しむ方法】適切な変換アダプターとおすすめDACアンプの選び方【2024年版】

ロスレス音源やハイレゾ音源は、音楽をより豊かで詳細に楽しむためのものですが、それを最大限に活用するためには適切な機器と環境が必要になるため、上級者向けのコンテンツとなります。

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