家電製品の価格は、過去と現在で大きく変わってきました。
20年前、家電業界の主流は「希望小売価格」でしたが、現代では「オープン価格」が主流となっています。
では、この変化の背景にはどのような理由があるのでしょうか?
そして店員しか知る事の出来ないプライスの「裏側」も詳しく解説します。
こちらの記事を合わせてご覧いただくと、家電をお得に購入する方法の選択肢が広がります。
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オープン価格、希望小売価格のメリットデメリット
オープン価格:商品の値段をメーカーが決めないことを指します。これにより、お店が自分たちで商品の値段を決めることができます。
- メリット:
- 柔軟な価格設定: 小売業者は市場の需要や競争状況に応じて価格を変動させることができます。これにより、迅速に市場の変動に対応することが可能となります。
- 消費者の選択: 消費者は、異なる小売業者間での価格競争の恩恵を受けることができ、より適正な価格で商品を購入する機会が増えます。
- デメリット:
- 価格の不透明性: 価格が頻繁に変動するため、消費者が商品の「適正価格」を判断するのが難しくなる可能性があります。
- 価格競争の激化: 小売業者間の価格競争が激化すると、過度な値下げが行われることがあり、これが業界全体の利益を圧迫する可能性があります。
希望小売価格:メーカーが「この商品は、このくらいの値段で売ってほしい」とおすすめする価格のことです。これを参考に、お店が商品の値段を設定します。
- メリット:
- 品質や性能の指標: メーカーは、希望小売価格を通じて、商品の品質や性能の水準を消費者に示すことができます。これにより、ブランドイメージや商品のポジショニングが強化されます。
- 価格の安定性: 希望小売価格が設定されていることで、市場全体の価格が安定し、消費者が価格に対する信頼感を持つことができます。
- デメリット:
- 価格の固定化: 希望小売価格が厳格に守られる場合、小売業者の価格設定の自由度が低下し、市場の動きに柔軟に対応することが難しくなる可能性があります。
- 消費者の誤解: 一部の消費者は、希望小売価格を「固定価格」と誤解する可能性があり、実際の市場価格とのギャップに驚くことがあるかもしれません。
希望小売価格からオープン価格に変移した背景
- 「○%引き」の販売合戦:
過去、希望小売価格が設定されている商品は、価格割引を強調した販売戦略が一般的でした。これは、消費者の購買意欲を引き出すための手法として用いられていました。しかし、このような価格競争は、商品の価値やブランドイメージを低下させるリスクも伴います。
- 技術の進化と情報の透明性:
インターネットの普及により、消費者は簡単に商品の価格情報を取得できるようになりました。これにより、消費者が異なる小売業者の価格を比較しやすくなり、価格競争が激化しました。オープン価格は、このような環境下で小売業者が柔軟に価格を設定し、競争力を維持するための手段として採用されるようになりました。
- 市場の成熟:
多くの市場、特に家電やIT製品の市場は成熟してきました。成熟市場では、新しい製品の差別化が難しくなり、価格が競争の主要な要因となります。このため、オープン価格が主流となり、価格競争を通じて市場シェアを獲得しようとする動きが強まりました。
- 消費者の購買行動の変化:
現代の消費者は、価格だけでなく、サービスやブランドの評価など、多様な要因を考慮して購入を決定します。オープン価格は、消費者のこのような購買行動に対応するための戦略として採用されています。
- グローバル化の進展:
グローバル化の進展により、多くの商品が国際的な市場で取引されるようになりました。これにより、異なる国や地域での価格差が縮小し、オープン価格が採用されるようになりました。
- 流通の効率化:
ロジスティクスや在庫管理の技術の進化により、小売業者は商品の流通を効率化することができるようになりました。これにより、小売業者は価格を柔軟に設定し、競争力を維持することができるようになりました。
プライスカードに隠された数字の秘密
- 値札に隠された数字の謎
毎週金曜日に配布されるチラシ。
その中で特に目を引くのが「ここからさらに値引き」と謳われる黄色いプライスカード。
しかし、そのカードの端には、一見無関係に見える小さな数字が…。
実は、当時私が勤めていた某家電量販店では、この数字を特定の方法で計算すると、商品の最終的な値引き金額が明らかになりました。
この数字の計算方法は毎週変わり、もちろん店員しか知りません。
- 商品の種類や状態を示す数字
さらに、プライスカードにはもう一つの秘密が。
それは、商品が新製品なのか、現行品なのか、取り寄せ専用なのか、発注は出来ずに本社からの割り振りのみの商品なのか、利益率が高いのか、またはメーカーの生産終了で在庫限りなのか、といった商品の特性や状態を示す数字が記載されていました。
私たち社員は、これらの数字を元に商品の値引きや展示の変更、発注の判断を行っていたのです。
店員が強くオススメする商品、その裏側を知っていますか?
店内で目立つPOPやディスプレイでアピールされている商品、それは大抵の場合、新商品です。
新商品は他の店との価格戦争がまだ始まっていないため、利益を多く得られる商品となっています。
他にもメーカーとの交渉で特定の商品を大量に仕入れをして全店舗にノルマを課す指令が出る事もありました。
さらには指定のオーディオ機器を1台売ると、社員にQUOカード500円分がプレゼントされるというキャンペーンも過去にあり、その商品の利益がかなり高いことがわかります。
そのため、店側はさまざまな方法でこれを売りたがります。
ただ、新商品が必ずしもベストな選択とは限りません。
実は、新商品と前のモデルとの間には、少しの機能追加やデザイン変更だけで価格が大きく変わる場合が多々あります。
そのため、前のモデルが店内にある場合、新商品との違いをしっかりと確認し、必要のない新機能で高額になっているなら、店員の言葉に惑わされず前のモデルを選ぶのも一つの方法です。
新商品が登場すると、前のモデルは発注ができなくなるため、購入をためらっているとすぐに在庫は無くなってしまいます。
もし気に入った新商品の前のモデルが売り切れてしまっている場合でも、他のブランドでは似たような機能を持つ前のモデルがまだ残っていることも。
そして、その価格は新商品と比べてかなりお得になっていることが多いのです。
特別なこだわりがなければ、新しいものに飛びつくのではなく、前のモデルを選ぶことで、賢い選択をすることができるかもしれません。
もちろん金額だけにこだわらず、性能に納得した上で新商品を選ぶことも選択肢に必要なので、比較検討が特に重要になります。
展示品の魅力と落とし穴:スマートな選び方
新商品が登場すると、前のモデルの価格は急激に下がります。
この価格の下げ幅は、特に高額な商品の場合、数万円にも及びます。
旧型はメーカーからはもう仕入れが出来ず、プライスも差し替えられます。
運が良ければまだ在庫が残っている場合があり、その時は新品を前よりもずっとお得な価格で手に入れるチャンスです。
現実は、旧型はあっという間に在庫がなくなり、大抵は展示品で売れ残ります。
しかし展示品も価格が下がっている事には変わりありません。
展示品の選び方にはコツがあります。
例えば、TVやパソコンは店内でずっと電源が入っているため、新品に比べて故障のリスクが高まります。
一方、炊飯器やオーブンレンジのように、電源が入っていない展示品は、汚れやへこみなどの外見チェックをすれば大変お得に購入できます。
最近では長期保証が提供されているため、金銭的な安心感は増しています。
しかし、故障時の手間やストレスは避けられませんし、修理の手続きや、設定の初期化など、予想以上の労力が必要となることも。
展示品を購入する際は、電源の状態や使用履歴を店員に確認することが大切です。
安さだけでなく、その後の利便性や安心感も考慮して、賢い選択をしましょう。
まとめ
家電量販店での価格設定は、一見シンプルに見えるかもしれませんが、その背後には多くの戦略や秘密が隠されています。
過去の「希望小売価格」から現代の「オープン価格」への移行、そしてその背景にある市場の変動や消費者の購買行動の変化。
また、店員が強く推奨する新商品の背後に隠された真実や、展示品の選び方のコツなど、購入時に知っておくべき情報が満載です。
最終的には、価格だけでなく、商品の性能や利便性、そして安心感を総合的に考慮し、自分にとって最適な選択をすることが大切です。
家電購入の際は、この記事の知識を武器に、より賢い選択をしてください。
日本の家電産業の繁栄のためには、単なる値引き競争からの脱却と、技術の革新を通じた日本ブランドの強化が不可欠です。
経済全体の基盤強化も欠かせません。
私たち消費者が安心して、そして快適に製品を使用できるための信頼性を再構築するため、何が求められるのかを深く考察する時が来ているように感じます。
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